2024/11/11
暗号資産投資の法的規制はまだ不十分ですから、自分の暗号資産を誰かに託したら騙し取られてしまうのではという不安があります。かといって、自分でトレーディングをしていくのは大変そうです。
そんな中、自分の負担が重くない形で、かつ、自分の手元に暗号資産を置いておく投資システムを提供しているxWIN(エックスウィン)(https://www.x-win.io/)の荒澤様と小林様にお話をうかがいました。
伝統的金融業界のど真ん中にいたメンバーで創業!
OWL:xWINを創業した経緯を教えてくれますか?
xWIN:2020年、荒澤とCalvin Thong(ケルビン・トン)が共同で創業しました。
ケルビンは、世界最大の資産運用会社であるブラックロックで、エンジニアとファンドマネジャーの両面で仕事をしてきました。
私(荒澤)はコンサルティングファームで働いてきましたが、ケルビンと話すなかで、これからは暗号資産の運用プラットフォームの需要が急速に高まると確信しました。
さらに、東京金融取引所や暗号資産取引所という、伝統的金融業界と暗号資産業界の双方で働いてきた小林も加わりました。
ロボアドバイザーによる暗号資産投資のプラットフォームを開発
OWL:xWINの目指すものは何でしょうか?
xWIN:既存の金融機関の提供する運用サービスは、コストが非常に高いと感じます。規制を守るためなど止むを得ない部分もありますが、事務処理コストがかかりすぎています。
また、従来の暗号資産投資にも問題点があります。
そうした部分をテクノロジーの力で解決していきたいと考え、ロボアドバイザーによる暗号資産投資のプラットフォームを作ることにしました。
開発はxWINマレーシア法人が行っています。
創業者のケルビンがマレーシア人ということもありますし、マレーシアは技術力のあるエンジニアを比較的安価に雇用できるため、開発拠点として非常に良い場所です。また、このマレーシア法人では、顧客の依頼にもとづいたブロックチェーンの開発も行っています。
従来の暗号資産投資ファンドやレンディングの問題点
OWL:従来の暗号資産投資の問題点について、詳しく教えてくださいますか?
xWIN:自ら暗号資産の運用をする人は以前からいましたが、スキルを持つ一部の人に限られていました。
その後、さまざまな暗号資産取引所やその他事業者がレンディング(取引所や事業者が暗号資産を借り受け、その対価として賃借料を提供する)を提供するようになりました。また、さまざまな暗号資産ファンドも登場してきました。これらにより、暗号資産の投資が多くの人にとってハードルの低いものになってきました。
ところが、こうしたレンディングや暗号資産ファンドは、オペレーション の面で問題があります。つまり、顧客からどのウォレットに入れてもらい、だれの責任で預かるのか、だれが運用の方針を決めるのか。これらを一部の人が扱っていたら、ミスによる事故が起こりえますし、権限を悪用するケースもありえます。
また、トラブル対応でも問題があります。暗号資産の世界では、どの国・地域にあって、どの国・地域の規制に服しているのか、よく分からない業者も少なくありません。そうすると、トラブルが発生した場合には、どの国のどういう規制に服しているのか分かりませんし、どの裁判所に訴え出ればよいかも分かりません。
伝統的金融におけるファンドの典型的仕組み
これまでの暗号資産ファンドの典型的仕組み
プラットフォームによる暗号資産投資のメリット
xWIN:こうしたトラブルを回避するには、投資家が持つ暗号資産を他人に預けるのではなく、自分で管理するセルフカストディに置くことがベストです。この投資家が自分で管理できる状態に置きつつ投資のサポートを受けられるのが、ロボアドバイザーによる暗号資産投資のプラットフォームを使った投資の仕組みであり、これがベストだろうと考えました。
OWL:プラットフォームは、規制の面ではいかがでしょうか?
xWIN:投資家から資金を預かって運用するという形にすると、金融商品取引業に該当しますが、プラットフォームを提供するだけで投資家から資産を預かりませんので、金融商品取引業にも暗号資産交換業にも当たりません。
ですから、世界中の投資家の方々に利用してもらうために、各国に法人を置き、各国の法人でその国のライセンスを取る必要もありません。
とはいえ、投資家の方々に知っていただくためのマーケティングは必要でしょう。創業者の一人である私が日本人ですので、日本法人を設立して、日本のユーザー向けのマーケティングを行っています。
プラットフォーム提供とファミリーオフィスの二本立て
xWIN:xWINとしては、投資家の方々にプラットフォームを利用して頂くというのが本来の目標ですが、プラットフォームを利用して運用することをハードルが高いと感じる方もいらっしゃいます。
そこで、シンガポール法人では、資産を託していただき運用を支援する、ファミリーオフィス業務も行っています。
インタビューを終えて
暗号資産投資ファンドやレンディングで儲けたという話を聞く一方、騙された・大損したという話を聞くこともあるでしょう。投資で失敗するだけでなく仕組み自体が杜撰なために資金を失ってしまう人もいるのが現実です。
このロボアドバイザーによる暗号資産投資のプラットフォームは、こうした仕組みを改革する一つの有効な挑戦であると感じるインタビューでした。
2024年9月24日インタビュー