コラム
Column

海外生活で英語力を磨いた帰国生、学歴をラクラク手に入れられる?(香港の進学塾episの講師にインタビュー)

2023/06/27

仲田先生

第2回
海外で生活し日英バイリンガルを目指す子供たち、帰国生入試を受けて日本に戻るのはお得な進路か?

海外でインターナショナルスクールや現地校にお子さんが通う場合、とくに日本に戻る可能性もあるのであれば、日本語での教育をどうするかが、親にとって悩みの種になることが多いです。
そこで、OWL Investmentsの代表(小峰孝史)が香港に住んでいたころ、2人の子供を通わせていた進学塾epis Education Centre(以下「EPIS」)の仲田先生に、帰国生の進路と勉強法について聞いてみました。

帰国生として中学受験、そのメリットは?

OWL:私(小峰孝史)の子も、EPISに通って、帰国生として中学受験をしましたので、帰国生として中学受験の例を1人分は見ているのですが、数多くの生徒を見てきた先生から見て、帰国生として中学受験をするメリットは、どこにあるでしょうか?

仲田:小学校時代に海外を経験して、その後の中高6年間という精神的に大きく成長する多感な時期に日本人としてのアイデンティティを形成できるというのは大きいと思います。

これは、日本・海外のちょうど良いバランスを作れるのではないかと思います。

OWL:日本の大学か、海外の大学か。どちらに進学するのがお勧めでしょうか。

仲田:日本の大学に進学するか、海外の大学に進学するかは、どちらが良いか一概には決められないでしょう。本人が考えて選択すればよいのではないでしょうか?

帰国生として高校受験、物凄くお得!

OWL:次に、中学生まで海外で生活し、帰国生として高校受験をする場合について、教えてくださいますか?

仲田:率直に言って、帰国生が高校受験をするのは、アドバンテージがあります。
多くの塾は、中学受験しか見ていない、高校受験しか見ていない中、私達EPISは中学受験も高校受験も両方とも見ているから気づくのですが、同じ学校であっても、中学や大学から入るより、高校からは入りやすい場合が多いのです。

OWL:分かりやすい例はありますか?

仲田:例えば、中学受験の最高峰と言える開成中学校を見てみましょう。
中学受験の偏差値と高校受験の偏差値を、数字だけで比較することはできないのですが、感覚的に言って、開成中学より開成高校の方が、数段合格しやすいです。もちろん、高校受験においても最難関校であるので易しいという意味ではありませんし、合格に至るまでは相当な努力も必要になります。

OWL:これは考えたことがありませんでした。新発見です。

大学受験と比べても、高校受験はお得でしょうか?

仲田:はい、大学の付属高校を受験する場合、大学から入るよりも高校から入る方が入りやすいケースは多いです。
例えば、私立大学のトップ2である早慶を見ても、早慶の付属に中学受験で入るのは難関、大学で入るのも難関ですが、高校受験で入るのは比較的とはいえ入りやすいです。

また、早慶の付属校には手が届かない子であっても、GMARCH(学習院、明治、青山、立教、中央、法政)の付属校もあります。
これらGMARCHの付属校も、GMARCHに大学受験で入るよりも、ずっと入りやすいです。OWL

中学受験や大学受験と比べて高校受験が受かりやすいのは、なぜでしょうか?

仲田:第一に、優秀な子たちが中学受験で抜けてしまっているということがあるでしょう。
第二に、中学受験と比べた場合、中学受験では英語が受験科目に無いのに対し、高校受験では受験科目に入っていること、そして、帰国生は英語でかなり大きな差を付けられるということがあるでしょう。

もう一点、数学と英語において、中学3年間で学習する範囲は、中学受験や大学受験で求められる範囲と比べて、非常に狭いため難度を上げにくいという、構造的な背景もあります。

こうした理由から、帰国生として、高校受験をする場合、難関校も含めて受験しやすくなります。

帰国生の大学進学、海外で目指せる進路の幅が広い!

OWL:最後に、高校生まで海外で勉強してきた子の場合について、伺いたいと思います。
日本人であっても、インターナショナルスクールで勉強したならば、英語圏の大学に入学できるのでしょうか?

仲田:香港にもインターナショナルスクールは様々あって、極端に言えば英語力を問わないインターナショナルスクールから、入学者をかなり絞ってくるインターナショナルスクールまであります。

そして、入学者をかなり絞ってくるインターナショナルスクールを卒業する日本人生徒を見ていると、大学の世界ランキングでトップ50に入るような英語圏の有名大学に入る子も少なくありません。

ただ、先ほど申し上げた「極端に言えば英語力を問わないインターナショナルスクール」であっても、生徒ごとに進路はかなり違っています。

上位層の生徒であれば、英語圏の有名大学に行けています。

OWL:一方、日本の大学に進学する子もいると思いますが、そうした子たちはどういう大学に進んでいるのでしょうか?

仲田:日本の大学にも帰国生入試がある大学はかなり多いです。
国立大学の上位校である、東大・京大・一橋にも帰国生入試があり、これらに合格した生徒も見てきました。これらの大学は、帰国生入試だからといって難易度が下がるという感じはありません。かなりハイレベルの生徒でないと合格はできないです。

OWL:私立大学ではどうでしょうか?

仲田:私立文系の場合、一部学部を除いて数学が入試科目に無く、英語の比重が高いです。そのため、帰国生入試に限らず、高校まで海外のインターナショナルスクールに通っていた生徒であれば、かなり楽々と合格している印象です。大学名を挙げれば、早慶のレベルでもかなり合格できています。

OWL:先生が見ていらっしゃる生徒さんたちは、もともと学力が高いお子さんが多いように思えます。ただ、それほどでもないお子さんもいらしたのではないでしょうか。率直に言えば、普通に日本にいたら有名大学には入れなかっただろうけれども、海外のインターナショナルスクールで学んだからこそ、ワンランク上の大学に入れたというようなケースはないでしょうか?

仲田:さきほど、海外のインターナショナルスクールで「二極分化」すると言いました。
この「二極分化」の下の方の子たちの場合、先ほどお話したように、TOEFLで60点程度しか取れない場合があります。
しかし、こうした子たちも、日東駒専(日本大学・東洋大学・駒沢大学・専修大学)レベルの大学に合格できています。

OWL:日本で普通に高校に通っていたら、日東駒専に合格していなかった子たちが、海外のインターナショナルスクールで学んだからこそ、日東駒専に合格したということですか?

仲田:はい、そうです。その意味では、海外に来たことで下剋上を果たせたと言えそうです。

ただ、あまり簡単だと思って欲しくなくて。

こうした子の場合、インターナショナルスクールで進級できず、途中で留年しているような例も少なくないのです。

ですから、あまり安易に考えて欲しくはありません。
ただ、海外のインターナショナルスクールで英語力をつけたことでワンランク上の大学に進学できることも多い、ということです。

OWL:それは、凄いですね。
安易に考えて欲しくはないが、ワンランク上の進学をできるチャンスにもつながる。非常に興味深い話でした。有難うございました。

仲田先生

epis Education Centreの概要
香港(香港島、ホンハム)、中国(深セン、蘇州)、オーストラリア(シドニー、メルボルン、ブリズベン)、インド(グルガオン)に教室がある、進学塾。
小学生の中学受験、中学生の高校受験、高校生の大学受験を幅広くカバーしている。

 

仲田先生の経歴
2010年よりepis Education Centre香港教室(Causeway Bay)。九龍教室(現ホンハム教室)責任者を経て、2015年中国・蘇州教室開校のために赴任。2017年より香港教室責任者として香港地区2教室の統括に携わる。指導教科は、英語を中心に文系科目。中学入試、高校入試、大学入試において、帰国生入試から難関校一般入試の受験指導、英語については学習初心者からインター・現地校生の指導まで幅広く携わる。

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