2016/08/29
香港には、日本人学校やインターナショナルスクールなど様々な学校があります。日本人の子弟が香港で学校に通う場合、どの学校を選ぶのが良いでしょうか?また、それぞれの学校での勉強で不足する部分を、どのように補ったら良いでしょうか?
様々な学校に通う在香港の日本人小学生・中学生を10年以上指導してきた駿台香港校副校舎長の佐藤先生に話を伺いました。
佐藤:駿台香港校では、基本的に小学生と中学生を教えています。小学1,2年生向けに、マンツーマンで国語・算数のドリル学習を行う「NexE」というクラスがあります。小学3年生から通常の教室での授業があり、小学3年生向けの小3コース(国語・算数)があります。小学4年生からは、中学受験をする生徒向けの中学受験コース(国語・算数・理科・社会)と、中学受験をしない生徒向けの小中一貫コース(国語・算数)に分かれます。
OWL:小学4年生からの中学受験コース、小中一貫コースでは、どのような指導をされていますか?
佐藤:中学受験コースは、中学受験をする生徒向けに授業を行い、また、模擬試験(主に、日能研の試験)を香港で受けられるようにしています。一方、小中一貫コースでは、主に日本人小学校に通う小学生向けに、学校の授業を先取りする授業をしています。
OWL:中学生向けコースは、どのようなカリキュラムですか?
佐藤:日本の難関高校の入試を目指したカリキュラムになっています。
OWL:「難関」と言い切ってしまうのですね(笑)
佐藤:難関高校を受験する中学生しか受け付けていないという訳ではありませんよ。でも、駿台海外校は13校ありますが、香港校とシンガポール校は、他の校舎に比べ難関高校を受験・合格する生徒が多いので、難関校受験を指導する力量のある先生を駿台の本部も派遣しています。
OWL:具体的には、どのような高校に合格されていますか?
佐藤:今春の結果で言いますと、有名高校では、開成3名、東京学芸大学附属1名、早稲田本庄6名、早稲田実業3名、早稲田高等学院1名、慶應義塾2名、慶應義塾志木3名、慶應義塾女子1名などです。
OWL:20数名という今春の卒業生数を考えると、合格実績は相当高いですね。特に、募集人員100名の開成高校に駿台香港校から3名合格というのは驚異的だと思います。
OWL:駿台香港校に通っている生徒の多くは日本人学校の生徒ですか?
佐藤:全体の約70%は日本人学校、約25%がインターナショナルスクール、約5%が現地公立校(英語の学校、広東語の学校など様々)でしょうか。
OWL:香港日本人学校の生徒は、日本の普通の学校の生徒と比べ、学力の水準が高いでしょうか?特に、英語力について伺わせてください。
佐藤:香港に住んでいる年数によって違いますが、概して、英語力のレベルは日本在住の小中学生より高いです。英検2級(高校卒業程度)を取得している小学6年生も結構いるくらいです。
OWL:高校受験や大学受験の段階でも、相当アドバンテージになる位の差でしょうか?
佐藤:そうですね。日本の学習要領に沿った文法などの勉強を日本人学校や駿台で学び、香港の実地で英語に接していますから、普通に日本で勉強してきた生徒に比べるとかなりアドバンテージになっているはずです。
OWL:英語以外の教科のレベルはどうでしょうか?
佐藤:英語以外の教科については、「英語圏の香港に住んでいるから」というメリットはありませんが、全体的にレベルは高いと感じます。理由は一概には言えませんが、香港に駐在されている方は比較的エリート層が多く、お子様の教育にも熱心だからではないかなと思います。
OWL:インターナショナルスクールに通う日本人生徒たちの英語力はどうでしょうか?
佐藤:香港日本人学校に通う日本人生徒と比べても、英語力はスピーキングを中心に非常に高いです。ただ、日本の一般的な高校入試や大学入試を受験した場合、香港日本人学校出身の生徒と点数があまり変わらないことが多いのです。
OWL:それは、何故でしょうか?
佐藤:そうですね。日本の入試問題は文法や定型的なイディオムを聞かれることが多いですが、インターナショナルスクール出身者は、日本的な英語教育を受けていないので、そうした部分では、香港日本人学校の生徒と差が無くなってしまうのです。
OWL:それは、日本の入学試験の問題点かも知れませんね。
佐藤:はい。ただ、文法問題などが無く、長文を読んで回答する問題の多い高校(慶應義塾藤沢高校など)だと、インターナショナルスクール出身者も対応しやすいですね。とはいえ、日本の高校の入学試験を受けるのであれば、中学校の間から、日本の入試問題に対応する準備はしておいた方が良いと思います。
OWL:インターナショナルスクールの日本人生徒の、英語以外の教科の力はどうでしょうか?たとえば、数学や理科は、日本人学校でもインターナショナルスクールでも、教科として組み込まれていますよね?
佐藤:もちろん、数学や理科はインターナショナルスクールでも習う教科です。ただ、日本の高校入試を受けるのであれば、中学からは駿台などの塾に通わないと、日本の高校入試には対応できないでしょうね。
OWL:それは、英語と同じで、日本の入学試験が特殊すぎるということですか?
佐藤:日本の高校入試で出題される数学や理科が特殊すぎると思いませんが、日本の中学校のカリキュラムを網羅するように勉強したうえで、高校入試の形式に慣れるためには、塾に通うなどして補わないと難しいだろうということです。
OWL:インターナショナルスクールに通う日本人生徒にとって一番の関門だと思うのは国語(日本語)ですが、両親とも日本人で家庭では日本語を使っている場合でも、日本語力は日本人学校に通う生徒と比べて相当に劣りますか?
佐藤:はい、普通に日常会話をしている限りは、日本語もできるように思える生徒でも、日本語の文章を読ませたり、文章を書かせたりすると、同学年の日本人学校の生徒と比べて格段に劣りますね。
OWL:そうすると、中学校もインターナショナルスクールに通う場合、日本の高校を受験することは難しいということでしょうか?
佐藤:そんなことはありません。駿台香港校の中学生コースに通っている生徒の約25%はインターナショナルスクールの中学生ですが、日本の難関高校に合格している生徒も多いです。例えば今年ですと、開成高校に1名、慶應女子高に1名合格しています。駿台などの塾で勉強をすれば、日本の高校も視野に入れることは十分可能です。
OWL:香港のインターナショナルスクール出身で英米の大学に入る日本人もいますか?
佐藤:私が直接に見ているのは、駿台香港校の中学生コースに通っている生徒ですから、日本の高校・大学への進学と両天秤に掛けている場合がほとんどですが、そういう生徒もいますね。
OWL:モデルケースのような生徒さんはいらっしゃいますか?
佐藤:フレンチインターナショナルスクールの小学校・中学校に通いつつ、駿台香港校の小学生コース・中学生コースに通っていた日本人生徒(両親とも日本人)がいました。彼は、日本の高校受験をして、早稲田実業高校と慶應湘南藤沢高校に合格しました。フレンチインターナショナルスクールの高校に進学して英語圏の大学に進むというコースを目指すのか、日本の高校・大学に進むコースを目指すのか悩んでいましたが、結局、フレンチインターナショナルスクールの高校に進学して、卒業後は、英国のケンブリッジ大学に進学しました。
OWL:今からお子さん(小学校入学前)を連れて香港に来るという方がいらしたら、どういうコースを勧めますか?
佐藤:ご家庭によって教育方針や志向が異なりますから、これがお勧めだというコースはありません。ご家族でお話し合いの上で決めたコースであれば、それでよいかと思います。ただ、いずれ日本の中学校・高校に進学するのであれば、日本の教育課程を学習する必要がありますので、学習塾や通信添削を利用することも視野に入れることを勧めます。
OWL:香港で学ぶ日本人生徒にとって駿台香港校は、どういう立ち位置であろうとしていますか?
佐藤:もちろん、香港の日本人生徒に対して、日本の受験指導を提供する場であることは間違いありません。でも、それ以上に、学校が終わったあと駿台に来れば、自習室でいつでも勉強できる、分からない点はいつでも質問できる、そういう勉強部屋的存在でありたいと思います。
OWL:自習室の場所が凄いですよね。駿台香港校の受付の前、教職員スペースのすぐ近くで、教職員から丸見え。
佐藤:小中学生は、教職員から見られていないと、なかなか勉強しないですよね。そうした行動パターンを意識した設計になっています(笑)
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