2015/07/02
香港にはこんなビーチもある(Tai Long Wan 大浪湾)
いよいよ今年から日本でも、一定の資産を持つ人が海外移住する際に「出国税」と呼ばれる税金が課せられるようになった。出国税は、富裕層が海外移住した後に、出国前に保有していた株式を売却して得た利益に対して課税が出来ないケースがあるため、出国税は、日本に住む人が、海外に引っ越しをする際に、保有している株式などを一旦売却したとみなして、税金を取るということである。富裕層の海外移住により、取りはぐれになっていた状況に、網をかけるということである。
日本では株式投資のもうけに20%も税金がかけられるのに対して、香港の日本から香港に引っ越しをし、香港の住民になると、日本で株式投資で得た利益に対する税金や、日本で保有していた法人の株式の売却によって得た利益に対する税金はゼロとなる。香港には贈与税もないので、香港に住んでいる人は、株式をタダで親族に売っても税金はかけられない。
税金にしても、香港の法人税は16.5%、個人の所得税率の最高税率は17%。日本の高い税金と比べると、税金の負担が小さい。
しかし、本当にこれらの税金負担の違いだけで、香港やシンガポールに移住をするのだろうか?
香港やシンガポールでの生活は、ほぼ日本と同じ生活水準を保つことができる、もしくは日本以上の生活水準を享受できるとはいえ、異国の地であり、日本語も通じるわけではない。また、天気にしても、夏は高温多湿であり、エアコンが効いている屋内と、屋外の気温差、湿度差などなど、慣れないことばかりである。
このような環境的なものに加え、加えて居住地を変えるということは、友人関係、家族、そして家族の教育環境なども含めて大きな変化がある。言ってみれば、香港に移住をする、ということは人生の方向性を変える大きな変化が伴うということである。
したがって、香港に移住をした多くの人にとっては、このような大きな変化を覚悟したうえで、香港で何かをやってみたい、ということが前提としてあり、節税はあくまで香港に移住する一つのメリット、として捉えていくべきであると考える。
税金の節減のためだけを考えて、住居を構え、事業を行わず、無為に過ごすようなことを考えている人は少なくとも私の周りにはいない。
香港やシンガポールに住居を構えるだけでなく、事業の拠点を置き、日本を含むアジアへの投資を行うことを受け入れられる人が、香港やシンガポールへの移住を検討すべきである。