2018/06/06
2018年5月25日、2017年に仮想通貨取引を含めた収入が1億円以上あったと申告したのは331人だったと国税庁が発表した、と日本経済新聞など複数のメディアが報じています。 この331人という数字は、以下の方法で算出したとのことです。
もちろん、この計算は、仮想通貨取引による収入は、雑所得に該当するという国税庁の発表を前提に行われています。
国税庁は「331人という数字について言えば、おおむね適切に申告がされたということだと思っている。
引き続き、適正申告を促していく」としています。
この発言が国税庁の本音かどうかは、分かりませんが、1億円以上の収入のあった仮想通貨長者は本当に大多数が申告したのでしょうか? もちろん、申告義務のあるのは利益確定をした人だけですから、それほど多い人数ではなかったんだ、という意見はあり、これはもっともだと思います。 しかし、それとは別の説明で、331人という人数は、それほどおかしくないという説明もされているようです。
日本仮想通貨交換業協会によると、仮想通貨取引を目的にした口座は約350万あり、そのうち2018年3月末時点で仮想通貨の時価が1億円以上あるのは268口座あったとのことです。
(2018年4月10日に金融庁で開催された、仮想通貨交換業等に関する研究会(第1回)の資料より) 時価1億円以上の口座が268口座という数字を前提にすると、2017年に仮想通貨で1億円以上の収入があった人が331人というのは、妥当なのではないか、という説明です。
しかし、「時価1億円以上の口座が268口座」だからと言って、2017年に仮想通貨で1億円以上の収入があった人も、これくらいの人数だろう、と考えるのは早計でしょう。
まず、この「268口座」という数字ですが、これは、登録業者14社・みなし業者3社の数字であって、それ以外の取引所に開設された口座は含まれていません。(同資料13ページ参照) また、「268口座」としてカウントされたのは、2018年3月時点で、預かり資産が仮想通貨を含め時価1億円以上の口座です。
つまり、仮想通貨をこれら取引所で購入した後すぐに自分のウォレットに移した場合、1億円以上の取引をしていても、この「268口座」にはカウントされていない訳です。
さらに、2017年に多くの長者を生み出したADAなどのアルトコインは、日本の仮想通貨取引所に上場しておらず、これらの取引は、日本仮想通貨交換業協会の資料には記載されていません。
これらを総合的に考慮すると、「時価1億円以上の口座が268口座」だからと言って、2017年に仮想通貨で1億円以上の収入があった人はだいたい331人くらいと考えるのは間違いと言ってよいでしょう。
国税庁は、2018年に入ってから仮想通貨による収益への課税について、さかんに観測気球をあげ、投資家に注意を促しています。
海外の取引所を使った場合、取引所ではなくエージェント経由で購入した場合、投資家同士の相対取引の場合。
これらであれば税務署にはばれないだろう!などと軽率に考えるべきではないでしょう。
適正な申告をすべきですし、もし節税をしたいのであれば、合法的な節税が可能か専門家と話し合うべきでしょう。
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