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FIRE、フリーランス、スモールビジネス経営者の海外移住、どこに移住すべき?移住先として、香港・シンガポール・タイ・マレーシアを格付けする!

2024/11/07

筆者は、多くの方々が海外移住するのをサポートしています。お手伝いしている移住者の多くは、経済的自由を得て早期リタイアした「FIRE」の方々、フリーランスの仕事をしている方々、スモールビジネス経営者の方々です。では、彼らの移住先としてお勧めしたい国はどこでしょうか?

移住先は、とりあえず、香港・シンガポール・タイ・マレーシアに絞って比較してみよう

最初に、欧米は除外します。
エキサイティングなアメリカ合衆国、歴史と伝統のヨーロッパなど、欧米に憧れる人は多いのですが、移住先としてはハードルが高いと思われます。

第一の理由は、長期ビザの取得が難しいことです。たしかに、その国の金融商品や不動産に投資することでビザを取得できる国はいくつかありますが、多くの国では長期ビザの取得は簡単ではありません。

第二の理由は、日本とライフスタイルが大きく異なることです。街のあちこちにコンビニエンスストアがあり、ひとりでも気楽に外食できる店が多い日本のような環境は期待できません。ヨーロッパなど、日曜日には閉まっている店だらけです。私自身、わずか1年ですが、イギリスのオックスフォードに住んでいました。私の場合は大学院で勉強するという明確な目的があったからよかったのですが、こうした目的がなかったら、退屈していたと思います。

同じく環境の違いという理由では、アフリカ・中南米・インド以西のアジアも除外しましょう。こうした国々はエキサイティングで楽しそうですが、初めての移住先としては、あらゆる意味でハードルが高いでしょう。

以上の理由から、初めての移住先としては東アジア~東南アジアをお勧めしたいと思います。さらに、ビザの取りやすさ、英語の通じやすさ、日本人居住者の多さなどを考慮すると、香港、シンガポール、タイの首都バンコク、マレーシアの首都クアラルンプールでの4つの都市が候補となります。

(1) 香港

香港は、日本からいちばん近いタックスヘイブンです。法人税率は16.5%(200万香港ドル=約4,000万円までの利益については8.25%)、個人所得税率は最高17%、金融所得に非課税、相続税・贈与税なし等、魅力的な税制です。

図1にあるように、在留日本人数は2万人を超えており、日本人が生活するうえで必要なものは一通り揃っています。しかも、日本から飛行機で約4時間と近く行き来しやすいため、日本にビジネスを持ちつつ海外移住をしたいという方に人気です。

図1:日本人が多く住んでいる都市(外務省のウェブサイトをもとに作成)

もっとも、長期ビザの取得は少し面倒です。投資をすることで取得できる「投資移民ビザ」はありますが、申請前の2年間に3,000万香港ドル(約6億円)以上の資産を保有し、かつ、香港で今後3,000万香港ドル(約6億円)以上を投資する人が対象ですので、ハードルが高いです。香港に会社を自分で作り、株主・取締役としてビザを取得するのが、もっとも現実的な方法でしょう。

(香港島の金融街を対岸の九龍半島側からみる、筆者撮影)

また、物価の高さもネックです。香港で食事をすると、だいたい東京の2倍以上の値段です。最も高いのは不動産で、日本人の多く住むエリアで50平米くらいの広さのコンドミニアムの場合、家賃は4万香港ドル(約80万円)を下りません。およそ東京の3倍かかるイメージです。


(2)
シンガポール

シンガポールは、日本から2番目に近いタックスヘイブンといってよいでしょう。法人税率は17%(さまざまな形で軽減税率あり)、個人所得税率は最高24%、金融所得に非課税、相続税・贈与税なし等、魅力的な税制です。

在留日本人も約3万人で、香港以上に日本人が生活をするのに必要なものは揃っています。

(マリーナベイと日の出、筆者撮影)

また、街並みがきれいでゴミひとつ落ちておらず、清潔感という点では断トツでしょう。そのおかげもあって、富裕層の移住先、とくにファミリーで移住する場合の移住先として人気です。

一方、長期ビザは少し面倒です。香港と同様に、シンガポールに自分で会社を作り株主・取締役としてビザを取得するのが、もっとも現実的な方法です。しかも、香港と比べてビザ取得のハードルは高めです。

また、日本から飛行機で約8時間と、ここにあげた4都市のなかでは最も遠く、日本と頻繁に行き来するにはやや面倒です。

香港と同じく、物価の高さもネックです。シンガポールで食事をすると、だいたい東京の2倍以上の値段です。最も高いのは不動産で、日本人の多く住むエリアで50平米くらいの広さのコンドミニアムの家賃が6,000シンガポールドル(約70万円)は下りません。およそ東京の3倍かかるイメージです。

(3) バンコク

バンコクはタックスヘイブンではありませんが、海外法人を使うことで、事実上タックスヘイブンと同様に暮らすことができます。

在留日本人は約5万人と、ここで比較している4都市のなかで最も多く、日本人が生活をするのに困ることはないでしょう。

(バンコクではルーフトップバーが人気、筆者撮影)

長期ビザとして最もポピュラーなのは「タイエリート」という購入するタイプのビザで、5年間有効のビザの場合、90万バーツ(約360万円)です。ほかにも、リタイアメントビザや保護者ビザ(子どもが学校に通う場合に保護者が取得できるビザ)がありますので、「ビザを取れないから移住できない」といったことはありません。

日本からのフライトは約6時間半で、この4都市のなかでは中くらいの距離です。

タイ移住でポイントとなるのが物価です。格安といわれた時代は過ぎ去りましたが、それでも、日本人が多く住むエリアでは50平米くらいのコンドミニアムに10万円程度の家賃で住むことができます。

(4) クアラルンプール

マレーシアの長期ビザとして最もポピュラーなものは、MM2H「My Malaysia 2nd Home」ですが、2021年と2024年の改正でかなりハードルが上がり、使いにくくなってしまいました。クアラルンプールには母子留学している方が多いのですが、母子留学によく使われているのが「保護者ビザ」(子どもが学校に通う場合に保護者が取得できるビザ)です。その他、フリーランス・リモートワークの方には、デジタルノマドビザがよく使われています。

日本からのフライトは約7時間、この4都市のなかでは若干遠いほうです。

クアラルンプール移住でも、ポイントとなるのは物価です。マレーシアもタイ同様、格安といわれていた時代は終わりましたが、日本人が多く住むエリアで50平米くらいのコンドミニアムには、いまでも10万円くらいの家賃で住むことができます。

(クアラルンプールの象徴ペトロナスツインタワーと屋台のコントラスト、筆者撮影)

クアラルンプールは移住先としてもよく名前があがるのですが、在留日本人はそれほど多くなく、1万人弱です。そのため、日本人向けのサービスは、ここに挙げた4都市のなかでは少し弱いといえます。

4都市の移住しやすさを格付けしてまとめると、下記の図表2のようになります。

もちろん、最後は好みですので、「移住して生活していかれるか?」という目線で、これらの都市を実際に訪れるのがよいでしょう。

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