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香港発のスタートアップ企業「Brand Pit」で戦う日本人経営者、インタビュー

2016/05/10

インターネット業界でグローバルに活躍するスタートアップ(ベンチャー企業)の本拠地といえば、米国カリフォルニア州のシリコンバレーを思い浮かべる人が多いでしょう。確かに、Goodle、Twitter、Facebookなど世界的インフラに発展した企業もシリコンバレー発祥です。

でも、香港を本拠地にグローバル企業を目指すスタートアップもあり、日本人経営者も戦っているのです。

Brand Pitの画像分析技術は、写真に写った人の年齢層・性別、写真に写った商品まで一瞬で把握!

梅園:今日は、インターネットを活用した新しいマーケティングサービスを、香港を拠点として提供していこうとしているBrand Pitの山浦真由子さんにインタビューをしたいと思います。さて、Brand Pitは、どういうサービスを提供する会社ですか?

山浦:弊社は、画像分析の技術を核としています。Brand Pitの画像分析は、多少薄暗い場所で撮った写真であっても商品を識別できますし、一緒に写真に写っている人の年齢層・性別も識別できます。この写真サンプルを見て頂けますか?

Brand Pit 1

Brand Pitの写真分析で、自社商品がどこで・どういう場面で・誰と使われているのか、正確に把握できる!

梅園:この写真分析を通じて、どういうサービスを提供していますか?

山浦:どの会社も、自社商品がどのような場面で使われているのか、知りたいですよね。今までは、アンケートを行うなどして自社製品が使われる状況を調べてきました。でも、アンケートは、面倒くさいと思われ回答してくれないことも多いですし、回答がいい加減である可能性もあります。

山浦:Brand Pitは、SNS上にアップされた大量の写真の中から、弊社クライアントの商品が写っている写真を探し出します。そして、一緒に写真に写っている人の年齢層・性別を識別して、商品が、どういう人と、どこで写真に撮られているかを正確に把握することができます。つまり、どういうシチュエーションで商品が用いられているかを分析しています。

梅園:百聞は一見に如かず。サンプルの画像分析はありませんか?

 

Brand Pit 2

山浦:この分析結果のように、特定のブランドの商品が、誰(性別・年代・人種・表情)と、どういう場所で、写っているかを分析することができます。

Brand Pitの写真分析で、自社顧客の行動を把握できる!

梅園:SNSは利用者のあらゆる行動を記録していますから、自社商品が写っている写真分析をする以外にも、サービスは発展していきそうですね。

山浦:はい、顧客の行動パターンを解析するというサービスも提供を開始しています。すでに、国際的ホテルチェーンから依頼を受けているのですが、このチェーンのホテルに宿泊した顧客は、このホテルに宿泊した後、どの観光地・都市に行くのか、どういう人(年齢層・性別)と一緒に旅行をするのか、どういう食事をしているのかを分析してレポートしています。

梅園:なるほど。ホテルの場合に限らず、例えば、スターバックスで撮った写真をSNSにアップした人の行動パターン、BMWの車の写真をSNSにアップした人の行動パターンなど、いろいろな発展形が考えられそうです。

Brand Pitは、本格的スタートの場所として香港を選んだ!

梅園:画像解析の技術開発をしていた時代は、日本で始めたんですよね。

山浦:はい、2013年、共同創業者のTT Chuが投資銀行の東京オフィスに勤務していた時期に東京で技術開発をはじめました。この頃から、画像解析技術+マーケティングというコンセプトで、日本国内のスタートアップイベントを中心に発表を始めました。

梅園:そして本格的に業務をスタートさせたのは、香港ですよね。何故、香港を選んだのでしょうか?

山浦:もちろん、共同創業者のTT Chuが香港出身というのは大きい理由です。でも、それだけではありません。香港は、世界最大のブランド品マーケットである中国の玄関口であり、中国のマーケットリサーチをやり易い場所です。それに、コンパクトにまとまった都市の中に欧米の主要メーカー、大手広告会社のアジア太平洋オフィスが揃っています。また、金融都市ですので、資金調達という点でも便利です。それに、プログラマーなどの人材も日本より集めやすいですね。

世界最大のマーケット中国の玄関口という香港の地理的メリットを生かしたビジネスに最適!

梅園:そこまで言われると、東京でやっているスタートアップやシリコンバレーでやっているスタートアップの立場が無くなってしまうのですが。

山浦:目指すビジネスによって最適な場所は違うと思います。日本の消費者をターゲットにするのであれば東京が最適な場所でしょうし、ウェブの中だけで完結するグローバルなサービスであればシリコンバレーが最適でしょう。Brand Pitの場合、ブランド品の消費者に物理的に近い場所、メーカーのマーケティング部門にアクセスしやすい場所、技術者を探しやすい場所、資金調達をしやすい場所を考えたら、たまたま香港だった、という感じです。

梅園:インターネットを活用したビジネスをしている企業としては、かなり、物理的な場所にこだわっていますね。B to Bで会社関係者に会うことが多いことも関係していそうですね。

山浦:確かに弊社の場合、Bつまり会社関係者に会う必要性が高いです。そして、市場規模は大きいが欧米企業からは消費者行動のわかりにくい中華圏、メーカーや広告会社の本社の多いヨーロッパ、その両方で会う必要性があります。ですから、弊社は第2のオフィスとして、今年、パリオフィスもオープンしました。これは、共同創業者のTT Chuがパリ市庁舎で話した時の写真です。

Brand Pit speech in Paris

Brand Pitは、画像分析技術を生かしたマーケティング企業として世界で唯一無二の存在を目指す!

梅園:Brand Pitの将来像について教えてください。

Ms. Yamaura

山浦:文字情報をもとにしたマーケティングですと、言語の壁があるのでグローバル企業を目指すにはハードルがあるのですが、画像分析をもとにしたマーケティングを行う場合、言語の違いが問題になりにくいです。それに、画像分析技術を生かしたマーケティングサービスというビジネスは世界的に例が無い会社だと思います。ですから、まず地元のマーケットを固めてから世界を目指すというのではなく、最初からグローバルなマーケットを取りに行きたいと考えています。

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