2016/06/20
香港で金融資産を持つ場合、自分の個人の名前で持つ方法もありますが、香港法人やオフショア法人を設立し、その法人に資産を持たせることもできます。
自分名義でなく法人名義で資産を保有しておけば、日本の税務署とは無関係と思う方もいるかも知れませんが、そう簡単ではありません。
12月31日時点で5000万円超の国外財産を有している日本居住者は、翌年3月15日までに、「国外財産調書」を税務署長に提出する義務があります。したがって、香港法人やオフショア法人に財産を持たせている人も、香港法人の株式という形で国外財産を有していますので、国外財産調書の提出義務がある場合があります。
あくまで自己申告ですから、「自分から言うなんて馬鹿でしょ。言わなくても平気!」と思う人もいるかも知れません。
しかし、税務署は甘くありません。
国外財産調書の提出義務者と考えられる人に対して、国外財産調書の案内書類を送付するケースがあります。この案内書類が送られてきているのに国外財産調書を提出しない場合、税務調査が行われる可能性もあるでしょう。
ちなみに、国外財産調書の提出状況において、国税庁は2014年、2015年と発表しています。
2015年提出の情報を2014年提出の情報と比較した場合、金額ベースで2兆5142億円から3兆1150億円へと約23.9%の増加、件数ベースで5,539件から8,184件へと47.8%の増加を示しています。国外財産が増加したのではなく、前年は提出していなかった人も提出するようになったと見るのが自然でしょう。
さきほど、国外財産調書は自己申告と書きました。
しかし、今後、各国の税務当局が非居住者の口座の情報について自動的に情報を提供する制度が開始されます。例えば、日本居住者が香港で開設した口座の情報について日本の国税庁に情報が提供されますが、この情報交換制度は2018年から開始予定です。
今まで、香港の銀行などに財産を持っていながら、国外財産調書を提出してこなかった方もいるでしょう。
日本香港の税務当局間の情報交換制度が開始するまでに、どのような形で問題を解決するか、考える必要がありそうです。
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