2015/08/24
リゾート地として海外からの旅行客に人気の高い北海道では、海外富裕層の旅行客を取り込もうとする動きが盛んです。当然のことながら、富裕層の旅行客取り込みは激戦区です。しかも、ライバルは、日本企業が設立・運営する宿泊施設だけではありません。対象となるシンガポールや香港の富裕層自身が設立・運営している施設もあるのです。
香港の財閥の一つ、合和実業(Hopewell Group)が北海道倶知安町にリゾートホテルを持っています。まずは、合和実業(Hopewell Group)について、見てみましょう。
Hopewell Groupは、Gordon Wu(胡應湘)氏が1969年に創業、同氏が米国Princeton大学の土木科出身であるというバックグラウンドもあり、同グループは、インフラストラクチャー投資を得意としています。
香港に住んでいる人であれば、湾仔(Wan Chai)にあるHopewell Centreを思い浮かべるでしょう。地上64階建て・高さ216mで、1980年に完成したこのビルは、1990年に中国銀行ビルが完成するまで香港一の高さを誇っていました。日本関係では、日産自動車の香港現地法人やJETROが入居しています。
さらに、同グループによるインフラストラクチャー事業として、合和公路基建有限公司(Hopewell Highway Infrastructure Ltd.)による珠江デルタ地域の高速道路(広州・深セン間の広深高速公路等)の運営を挙げることができます。
これほどの大財閥の創始者・会長であるGordon Wu(胡應湘)氏が、リゾートホテルの運営を始めました。
しかも、香港・中国・東南アジアの富裕層を北海道に呼び込んで金儲けをしよう等という目的ではないのです。
Gordon Wu(胡應湘)氏は、北海道の中でもニセコを大変気に入り、リゾートマンションを購入しようとしました。しかし、着工が遅れたため、自分のための別荘を組み込んだリゾートホテルを建設することにしたとのことです。
同ホテルは、地下1地上6階、1階に温泉、2階にレストランをそれぞれ配置した延べ3136平米の規模で、一般客室とスイートルーム各15室の計30室を設けています。そして、当初の予定通り、最上階は同氏の別荘となっています。
同ホテルの代表取締役を務めるのは、Gordon Wu(胡應湘)氏の妻であるIvy Wu(郭秀萍、アイビー・ウー)氏です。ちなみに、ホテルの名前は「CHALET IVY」と同氏の名前が入り、ホテル運営会社の名称は、株式会社SUPER OKUSAN(スーパー・オクサン)です。
北海道へのインバウンド観光については、北海道の地方銀行も支援に動いています。
北洋銀行(本店:札幌市)は、北洋 6 次産業化応援ファンド投資事業有限責任組合の出資案件として、美瑛ファーマーズマーケット株式会社(本社:北海道上川郡美瑛町、2015年3月設立)」に 6660万円の出資を行うことを決定しました。
この北洋 6 次産業化応援ファンドの出資を受け、美瑛ファーマーズマーケット株式会社は、2016年12月に同町内で、約2億円を投じ、海外(特に、シンガポールや香港)富裕層向けのオーベルジュ(宿泊施設付きレストラン)を開業する予定です。定員14人で、1人当たりの宿泊料金は4万円~5万円、レストランは昼食3000円程度、夕食1万円程度を見込んでいます。
こうした、アジアの富裕層を取り込もうというリゾートホテル開発業者は、地元のライバルとの戦いだけでなく、ホテルシャレーアイビー(Chalet Ivy)のようなアジアの富裕層自身が作り上げたホテルと戦っていかなくてはいけない訳です。地元主体でリゾートを作っていく際も、計画段階から、ターゲット顧客であるアジアの富裕層のマーケットリサーチをしていく必要があるのではないか、そう思います。
私達は、アジア富裕層を取り込む事業をされている方々や香港の富裕層向けビジネスをされている方々をお手伝いしています。
問い合わせ先(OWL Hong Kong Limited):info@owlhongkong.com
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