2015/10/21
香港では、180日以上の滞在認可を取得した満11歳以上の人は、香港IDカード(Hong Kong Identity Card)というプラスチック製のカードを取得し、常時携帯する必要があります。
日本では「消えた年金」の問題が生じたことがありました。これは、日本では個人を特定する際、氏名、生年月日、本籍、住所などを使っていますが、氏名、本籍、住所などは変わる可能性があり、不完全な特定方法だったことが原因でした。
香港IDカードは、外国人でビザが無い時期がある場合(例えば、2005年から2010年まで香港駐在、2015年から香港移住)でも、以前の香港ID番号がそのまま使われ、一人の人には一つの番号しか用いられません。したがって、個人の特定方法として、確実性が非常に高いと言えます。
(下記写真は、永久居民向けの香港IDサンプル)
このように個人を特定する機能が非常に高いため、この香港IDカード、銀行口座開設、不動産賃貸借契約など様々な場面で使われます。また、香港空港では、パスポートコントロールで香港ID保有者用の自動ゲートがあり、係員がパスポートをチェックする列に並ぶことなく、速やかに出入国が可能です。
ここからは余談ですが:
先ほど、「常時携帯する必要があります」と言いましたが、普通に暮らしていて不意打ち的に香港IDカードの提示を求められることは、まあ、ありません。
ところが、香港に約5年住んでいて初めて、警察がその場にいた全員に香港IDカード提示をするよう命令した場に出くわしました。
先日、香港の東側、シーフードで有名な西貢(Sai Kung)のさらに東側、トレイルコースとも言えない、海に面した断崖絶壁で知られる破邊洲(Po Ping Chau)の近くの山の中でトレイルランをしていたら、国境警備のヘリコプターがいきなり接近。その後、トレイルラン終了後、バスで市内に戻ろうとしたら、途中で警察が検問をしていて、バスの乗客全員に対して香港IDの抜き打ち検査を行ったのです。
おそらく、以下の事情から、私達が密入国者と疑われたのではないかと思っています。
実は、香港では、中国本土・香港間の密航者がいるのです。そうした密航者が中国本土・香港間の境を超えるルートは、①国境の関門を越える自動車の中に隠れて突破する、②中国本土・香港の西側の海を船で渡る、③中国本土・香港の東側の海を船で渡る、というルートがあります。
①国境の関門で自動車の中に隠れてチェックの目を逃れるのは難しいですし、②香港の西側は東側に比べて圧倒的に船の通航が多く人の目を逃れにくい、という訳で、密航のメインルート(?)は、③中国本土・香港の東側の海を船で渡る、というルートなのです。
どうやら、西貢の先で漁船から降ろされ、市街地まで入っていくというのが、③のルートで入ってきた密航者の上陸後の行動パターンのようです。で、こんな場所を歩いていたから、密入国を疑われ、ヘリコプターの追跡まで受けたのでしょう。
(下の写真は、ヘリコプターに追いかけられながら撮ったものです。)
まあ、こんな特殊な場所に行かない限り、たいてい警察(国境警備隊?)の一斉チェックはないのですが、ルールはルール。香港IDは常時携帯しておきましょう。