2015/09/09
香港の金融・ビジネスの中心地Central(中環)と欧米的ナイトスポットの中心地Lan Kai Fong(蘭桂坊)の間に位置するランドマーク的存在だったコーチの香港旗艦店が8月末で閉店しました。
この写真を見ると分かるように、交差点に面した非常に目立つショップだっただけに、その閉店は、香港に住む多くの人にインパクトを与えました。
香港では、欧米有名ブランドの主要店舗の閉店が続いています。この8月には、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)傘下の時計メーカーのTag Heuer(タグ・ホイヤー)もCauseway Bay(銅鑼湾)にあった香港直営店を閉店したところです。
これらは、今年に入り中国人の香港での購買に陰りが見えてきて、高騰する香港の不動産賃料に見合わなくなってきたことが理由と伝えられています。
こうした現状を踏まえ、「香港の不動産価格は2015年後半には上昇するものの、中国と香港の景気減速が不動産部門を圧迫し始めることから、来年には調整局面を迎える可能性がある」というJPモルガン・チェースの予想を、Bloombergは報じています。
日系企業にとって香港ビジネスで最大の難関は、不動産賃料の高さでしょう。特に、不動産賃料が高いだけでなく、更新ごとに上がっていくと、経営の計画を立てることができません。内装工事に金をかけられませんし、不動産賃貸借契約の期間(多くの場合、2年間)で投資を回収するという短期的な計画を立てるしかありません。
私達も、提供している商品は素晴らしいのに、店舗の賃料の高騰に負けて泣く泣く撤退した企業をいくつも見てきました。
そう考えると、香港経済の減速は、中国人観光客の購買意欲低下⇒不動産賃料の下落という側面についてみる限り、そう悪いことばかりではないかも知れません。ポジティブにいきましょう。
2015年11月11日現在、Coach旗艦店外装の取り外し作業中です。水曜日の午後6時過ぎ、人通りは結構あり、不況という感じはしませんね。