2015/09/20
香港でビジネスをしている人にとって最大の悩みは不動産でしょう。
オフィスにしても店舗にしても、家賃が高いうえ、更新ごとに家賃を上げられてしまうから長期的計画を立てにくいのです。
なんとか、一応納得できる物件を一応納得できる家賃で契約できそうになったとき、相手方の出してきた契約書をきちんと読みましたか?
きちんと読まなかったため、酷い目にあったケースもあります。そうした例は数限りないのですが、いくつか見てみましょう。
ある日系企業がビルの高層階(20数階)にオフィスを借りたのですが、別の場所に移転するため退去することになりました。
退去後、デポジットの返還を求めたのですが、デポジットが帰ってくるどころか、高額の請求書が。そして、請求書には、「外壁に傷がついているので、修理代としてXX香港ドルをお支払いください。」とのこと。
ビルの20数階の外壁です、スパイダーマンでもない限り絶対に傷つけることは不可能です。(写真はイメージです。)
でも、契約書を改めてチェックすると、物件の外側・内側とを問わず、故意・過失の有無にかかわらず、傷をつけた場合には修繕費用を支払えという条文がありました。
契約にはもちろんサインしてしまっています。今更、どうしようもありませんでした。
ある日系企業(サービス業)が雑居ビルに店舗を借りる際、オーナーからビルの入口に立て看板を出して構わないと言われました。
そこで、立て看板を出していたのですが、ある日、立て看板を撤去されてしまい、オーナーに抗議しても取り合ってもらえません。
たしかに、契約書には立て看板を出して良いとは書いていません。でも、オーナーが立て看板を出して良いと言ったはずなのですが。。。
実は、「契約書に記載された内容だけが合意内容である」という条文(いわゆるEntire agreement clause)が入っていて、オーナーが立て看板を出しても構わないと言ったとしても、その約束には効力が無かったのです。
賃貸借契約書にサインをする前に弁護士に相談しても意味が無い、とよく言われます。
確かに、香港では、大家が出してきた賃貸借契約書の内容をテナントに有利な内容に修正してくれることは稀です。結局は大家の出した契約書の文面をそのまま飲むしかないことが多いです。
でも、上に挙げた二番目のケースではどうでしょう?契約前の時点では大家も看板を出すことについて同意していたのですから、契約書に記載してもらえたかも知れません。
上に挙げた一番目のケースでも、建物の外側部分については責任を負わないという内容に修正してもらえたかも知れません。
それに、仮に契約内容を修正してもらえないにしても、あらかじめ心構えを持っておくことができますし、極端に不当な内容であれば契約にサインしないという選択肢もありますよね。
香港は契約社会。契約書は形式だけという日本とは違うのです。サインをする前には十分中身を確認することが肝心です。
契約書にサインする前にOWL Hong Kong Limitedにご相談ください。
問い合わせ先:info@owlhongkong.com