2016/08/13
香港は日本から近く法人設立や銀行口座を開設しやすい外国です。ですから、日本に住んでいる人でも、香港の銀行に自分名義の口座を開設した人、香港で法人を設立して法人名義の銀行口座を開設した人も大勢いらっしゃいます。
でも、香港法人設立・香港で投資したからといって、日本の法律・日本の税金が無関係にはなりません!
日本居住者が忘れがちな日本の法律・日本の税金について、ざっくりと見直しておきましょう。
日本の居住者が12月31日時点で合計5000万円超の国外財産を保有している場合には、国外財産調書を作成して、 翌年3月15日までに所轄の税務署長に提出しなければいけません。
国外の財産を自分名義で持っている場合(例えば、自分名義でHSBC香港に口座を開設し、金融商品を購入した場合)は当然ですが、香港法人を設立してその香港法人名義で国外財産を持っている場合でも、国外財産を持っていることになりますので、注意しなくてはなりません。
海外預金口座の利子 ・海外証券口座の投資運用益(配当、キャピタルゲイン)等は、その所得を日本に送金するか否かにかかわらず、日本で申告納税義務があります。
香港で投資をしている日本人で、この義務を忘れている(そもそも知らなかった?)人はかなり多いような気がします。
100万円超の現金等を海外に持ち出す際は、出国時に税関で申告しなくてはいけません。
「ハンドキャリーは禁止されている」と思っている人も多いかも知れません。正確には、ハンドキャリーは禁止されている訳ではなく、申告義務があるのです。
過去には、申告無しにハンドキャリーで多額の金銭を香港に持ち込み、香港の銀行口座に入金していた人も多いように聞いています。でも、最近では、反マネーロンダリング規制が厳しくなっていることもあり、多額の現金を銀行に持ち込んでも、受け付けてくれなくなってきています。
日本に住む人が、法人税率16.5%の香港など低税率の国・地域に法人を設立して、タックスメリットを取りに行こうとする場合、一番気を付ける必要があり、かつ、対応が難しいのは、この外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)でしょう。
日本法人が香港に子会社(ペーパーカンパニー)を設立した場合、香港子会社の所得は親会社(日本法人)の所得として合算されます。
他方、日本居住の個人が香港に法人(ペーパーカンパニー)を設立した場合、香港法人の所得は日本居住の個人の雑所得となります。
つまり、単にペーパーカンパニーの香港法人を設立しても、タックスヘイブン対策税制の適用により、法人設立・維持費用の分だけ出費がかさんでしまった、ということになってしまうのです。
OWL Investmentsにも、外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)について論じた記事がありますので、是非お読みください。
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