コラム
Column

香港のお手伝いさん、どうやって選ぶ?どうやって使う?

2016/03/01

香港では、普通の家庭でお手伝いさん(メイドさん)を雇うことが非常に一般的です。メイドさんをどうやって探し、メイドさんをどうやって使ったら良いのでしょう?

なかなか正解は無い問題かも知れません。一つの例として、香港で2年間メイドさんを雇った主婦のTSさんに聞いてみました。

メイドさんを雇ったのは、第2子出産前から

梅園:TSさんは、どういった経緯でメイドさんを雇おうと思ったのですか?

TS:メイドを雇おうとしたのは、2人目の子供が生まれる約2か月前でした。2人目の子供が生まれて乳児の間は、家事をやることが難しくなってしまうことを考慮して、雇うことにしました。

メイドさんは、エージェントを使って探した

梅園:どうやってメイドさんを探しましたか?

TS:メイドさんを使っている人で、ちょうどメイドさんが不要になるというタイミングの良い状況であれば、そのメイドさんを紹介してもらうことも可能だったでしょう。でも、そうタイミングの良い話はありませんでしたので、エージェントにメイドさんの紹介をお願いしました。ちなみに、マンションのプレールームなどで子供と遊んでいると、子供の世話をしているメイドさんが、「メイドを探しているか?良い人を紹介してあげる。」と言ってくることがあります。たいてい、そのメイドさんの地元の親戚・知人を紹介するだけであり、「良い人」である保証は無いでしょうね。

梅園:どのエージェントを使いましたか?

TS:地元のエージェントに依頼しました。2社ほど訪問して、感じの良さそうな方にお願いしました。

Maid agency

 

(写真は記事本文とは関係ありません。参考写真です。)

 

エージェントに「誠実な人を探しています」と言っても伝わらない!?

梅園:どういうメイドさんを雇いたいと思って、エージェントにどのような要望を出しましたか?

TS:誠実な人を雇いたいと思いましたが、「誠実な人」というような曖昧な基準ではエージェントも困りますよね。小さい子供がいて、子供の面倒を見てもらう予定でしたので、「子育て経験のある人をお願いします」と頼みました。

梅園:エージェントから応募者を何人も紹介されたと思いますが、数多くの候補者の中からどうやって選びましたか?

TS:レジュメ(履歴書)を作っていた応募者もいましたが、応募者全員分のレジュメが揃っていた訳ではありませんでした。ですから、まずは、履歴を聞きました。これまで幾つの家でメイドをしてきたのか、途中で解雇されていないか、雇われていたのは香港人の家か欧米人の家か、そして、子供はいるか、ですね。

梅園:香港人に雇われていたか、欧米人に雇われていたかで違うのでしょうか?

TS:あくまで一般論ですが、香港人の方がメイドさんに対して厳しく当たるので、香港人に雇われていたメイドさんは謙虚な人が多いように感じました。でも、欧米人に雇われていた人の場合、英語が上手な人が多いようですし、西洋料理を教えられて上手な人が多いようです。ですから、一概にどちらが良いとは言えないですね。

「存在の希薄感」がメイド選択の決め手だった!?

梅園:なるほど。ここまで聞いた話からすると、どういうメイドさんを雇うべきかについて、明確な基準というのは無いみたいですね。そうすると、何を見て判断したら良いのでしょうか?

TS:レジュメと面接だけでは難しいと思います。香港に来ている人ではなく、フィリピンなど本国にいる人を雇うケースもあるようですが、その場合、レジュメと電話面接から判断するしかないですよね。これでは良い人を見極められないと思いましたので、香港で実際に会える人の中から選びました。

梅園:レジュメと面接だけで判断するのは難しいとなると、どうやって選んだのですか?

TS:レジュメと面接で良さそうだった人から何人か、お試しで一日ずつ家に来てもらいました。子供と遊んでもらったり、料理をしてもらったり、掃除をしてもらったりして、彼女たちの様子を見ました。

梅園:最終的に一人のメイドさんを選んだ決め手は何でしたか?

TS:彼女は、中国人家庭で雇われていましたが、試用期間で解雇されました。だから、謙虚に一生懸命やるのではないかと思いました。そして、これが最大の理由なのですが、フィリピン人はおしゃべりなタイプが多いのですが、彼女は物静かで、極端に言えば、存在感が薄い印象でした。この人だったら、家の中に常にいても、邪魔に感じないかな、と(笑)

メイドさんには、家事を幅広く頼んだ

梅園:メイドさんには、何の作業をしてもらいましたか?

TS:2人目の子供が生まれるので、家事をできなくなってしまうと思って、メイドさんを雇いました。ですから、幅広い家事をやってもらいました。家事では、買い物、料理、皿洗い、家の掃除、洗濯などやってもらいました。また、上の子供は、(メイドさんを雇い始める時点で)1歳10か月でプレイグループに参加していましたが、そのプレイグループへの送り迎えもしてもらいました。さらに、下の子も一緒に外出できるようになってからは、子供2人を連れて外出する際に、どちらか1人を抱いてもらったりもしました。

Hiring a helper

買い物、料理、外国人のメイドさんに、どうやって頼めば良い?

梅園:買い物は、どのようにしてもらいましたか?野菜とか魚は、品物ごとに良し悪しがありますし、指示して買ってきてもらうのは難しくないですか?

TS:最初は一緒に買い物して、どの店でどういう野菜・肉・魚などを買うかを見てもらいました。私の買い物のルートや買う商品をだんだん覚えていってくれましたので、徐々に、どの店で何を買って欲しいとお願いして、買ってきてもらうようにしていきました。

TS:私達の家では、香港のローカルのマーケット(街市)で野菜を買うことが多かったのですが、街市では、野菜の産地まで書いてある店もあるんですね。で、中国産の野菜は避けてもらうように言いました。

梅園:食事は、どのように作ってもらいましたか?

TS:フィリピン人で、香港人家庭でメイドさんをした経験があるだけでしたから、最初、日本的な家庭料理は全く作れませんでした。そこで、日本的な家庭料理の作り方を教えて作ってもらうようにしました。フィリピン人は、あまり料理が上手でない人が多いのですが、彼女はフィリピン人にしては料理が上手だったので、シニガンスープなどのフィリピン料理も作ってもらいました。シニガンスープは酸味のあるスープで日本人の口にも合いますよ。

sinigang

TS:キッチンの様子はできる限り見るようにしていましたが、塩・しょうゆ・油の使用量が結構多かったんですね。塩分や油を取りすぎてはいけないと思い、塩・しょうゆ・油を使いすぎないように注意したこともありました。

梅園:掃除は、どのようにしてもらいましたか?

TS:私達の家の床は、大理石っぽい感じの石敷なんですね。ですから、掃除機は不向きですが、拭き掃除をすれば綺麗になります。子供たちが家の中で遊んでいる時間帯には掃除をして欲しくなかったので、夜子供たちが寝た後で、床の拭き掃除をしてもらっていました。風呂掃除などは、夕方風呂に入る前にやってもらっていました。

梅園:その他にしてもらった作業はありますか?

TS:家の近くのタクシー乗り場は、時間帯によっては結構行列ができていて、タクシーに乗るのに待つことがあるんです。そういうときは、早めにタクシー乗り場に行って、列に並んでいてもらったりしました。そのほか、部屋の電球を交換してもらったり、友人宅に荷物を届けてもらったり、ということもお願いしました。

メイドさんの生活とズレはあった?

梅園:メイドさんの食事は、どうしていましたか?

TS:家で食事するときには、作った料理の一部を自分用として取ってもらい、キッチンで食べてもらっていました。また、メイドさん用のパンや米等の食材をキッチンにストックしていましたので、私達が外で食事するときには、メイドさんには家でそれらメイドさん用の食材で料理して適当に食べてもらっていました。

梅園:メイドさんには、どの部屋で寝てもらいましたか?

TS:マンションによっては、メイドさん用の部屋があるところもありますが、私達の家にはメイドさん用の部屋がありませんでした。その代わり、ベッドルームが3部屋あったので、そのうちの小さい1部屋をメイドさんに与えて、そこで寝てもらっていました。

梅園:メイドさんには、バス・トイレはどう使ってもらいましたか?

TS:私達の家にはバスルームが2つありますので、ゲスト用バスルームを使ってもらっていました。彼女は、毎朝6時ころシャワーを浴びていましたが、結構シャワーの音が響いて、子供が起きてしまうことがありました。そこで、寝る前に入ってもらうよう言ったこともありました。

梅園:人それぞれの生活習慣の違いというのはありますし、日本人とフィリピン人の違いがあれば、なおさら、生活習慣の違いがあって、一つの家の中で生活するのには、難しい点があるのでしょうね。

TS:はい、やはり他人が家の中に住むというのは難しさがあり、私達の場合、子供が2歳前の時点まではメイドさんを使っていましたが、今では使っていません。香港でどのように暮らしていくかというライフスタイルを考えながら、必要に応じてメイドさんを使っていくと良いのではないでしょうか。

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