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英検準1級に、海外生活経験のあるバイリンガル小学生がらくらく合格。日本の受験競争で、帰国生たちが無双する現実

2024/10/28

海外移住は、節税や快適な生活というメリットがありますが、そればかりではありません。

お子様と一緒に海外移住するなら、お子様を現地校やインターナショナルスクールで学ばせることにより、お子様をバイリンガルに育てることも可能です。

むしろ節税や快適な生活よりも、お子様のバイリンガル教育のほうが海外移住のメリットとして大きいといえるかもしれません。

海外に暮らして英語を学ぶなら、早いに越したことはない

海外で英語を学ぶといっても、何歳で学ぶかによって効果は違ってくるでしょう。

幸い筆者の周囲には、小中学校時代に海外で学んだ帰国子女から、社会人になってから留学した人まで、さまざまなケースがあるので、タイプごとに英語のレベルを図表1にまとめてみました。

(図表1)

左から、①小中学校時代に海外で勉強した人、②高校時代に海外で勉強した人、③大学時代に海外で勉強した人、④社会人時代に英語で勉強した人、と並べています。

海外に住んでいた年数もバラバラなので、あくまでも身近なデータの収集でしかありませんが、小中学校時代に海外で勉強していた人がもっとも英語がうまく、社会人時代に海外で勉強した人はそれほどではありません。これは皆さんの感覚とも近いのではないでしょうか。

実は筆者も「④社会人時代に英語で勉強した人」に該当します。留学前は、英語ペラペラになって帰ってくるのかな…などと期待していましたが、そうはなりませんでした。

もし、お子様と一緒に海外移住できるのであれば、早いほうがいいでしょう。

幼稚園時代の2年間だけ海外に住んでいたという程度だと、英語を忘れてしまうということも起こりますが、小学校4、5年生ぐらいで英語を話せるようになっていれば、しっかり身について、忘れることはないでしょう。

小学生で英検準1級の取得も可能

では、英語力はどの程度になるのでしょうか。

英語力を測定するうえで最もポピュラーなのは「英検」ですが、筆者がお手伝いしたご家族のケースでは、小学校時代に英検準1級を取れるぐらい、というのが通常のラインです。もちろん、なかには1級を取れるお子さんもいらっしゃいます。

英検の会場に行くと、小学生にしか見えないお子さんが大勢入っていくので驚きます。

英検のリスニング試験では選択肢の読み上げがあり、明らかに誤りの選択肢もあるのですが、それを大真面目に読み上げる音声が流れてくると、嘘か本当か、小学生のお子さんたちがどっと笑うといった光景も見られるといいます。

受験英語を一生懸命学んできた大学生が、必死の思いで受験する英検準1級を、海外で学んだ小学生キッズたちが笑いながら合格していくというのは、日本における英語教育の実情を実によく表しています。

中学受験、帰国生は一般生の「2倍のチャンス」が与えられている

海外で学び、そのまま英米の大学に進学する子もいますが、途中で日本に戻る子もいます。首都圏に戻る場合は、中学受験のタイミングに合わせるケースも多くあります。

中学受験は、東京では、2月2日や2月3日以降に受験日のある学校もありますが、一般に本命とされる学校の受験日は2月1日に集中しています。そのため、一般生が普通に中学受験をする場合、3校くらいしか、受験のチャンスはありません。
図表2を見ていただけると実感できると思います。

(図表2)
カッコ内の数字は、大手進学塾の四谷大塚が発表している合格可能性80%の偏差値

一方、すべての中学校に帰国生入試が設けられている訳ではありませんが、帰国生入試は12月から1月にかけてバラバラに受験日が設定されています。そのため、帰国生入試は受験のチャンスが多いのです。受験する学校のレベルにもよりますが、3校くらいは受験できるでしょう。それだけでなく、帰国生は一般入試も受けることができます。つまり、チャンスは2倍あるといっていいでしょう。図3をご覧ください。

また、帰国生入試と一般入試では受験科目が違うので一概に比べられませんが、帰国生入試の方が一般入試より少しハードルが低いと言われています。

(図表3)帰国生入試を実施している学校の例と、それぞれの偏差値の目安
(70)等の数字は、大手進学塾の四谷大塚が発表している合格可能性80%の偏差値
(帰65)等の数字は、四谷大塚が発表している帰国生入試での合格可能性80%の偏差値
△は、帰国生入試が一般入試と同日に実施される中学校

もちろん、帰国生入試は一般の入試と受験科目が違うため、準備はそれなりに大変ですが、ほとんどが2月1日の一発勝負で、最大でも3校くらいしか受験できない一般生から見たら、帰国生は非常に恵まれているのです。

大学受験、帰国生は英語で「無双」できる

受験のなかで最も厳しい戦いになるのが大学受験ですが、この大学受験ではどうでしょうか?
帰国生向けの大学入試もありますが、一般入試で見てみましょう。

一般入試の場合、同じ問題で受験して特別枠もありませんから、帰国生だから有利という制度上の優遇はありません。

しかし実際、圧倒的に有利です。私立文系の場合、英語・国語・社会の3科目入試が多いですが、この3科目のなかでも英語の配点が高いのが普通です。そして、この英語の問題で、帰国生は無双できるのです。

筆者も、中学受験の帰国生入試で出題される英語の入試問題をいくつも解いたことがあります。非帰国生ながらオックスフォード大学に留学しMBAを取得した私ですが、恥ずかしながら、中学受験の帰国生入試は、英語だけで勝負するとあちこちの中学で不合格になりそうです。
そして、そうした中学入試の帰国生入試の英語を解いた後で、大学入試の英語の試験問題を見ると、かなり易しいのです。つまり、帰国生にとって大学入試の英語の問題はかなり楽勝だと思います。

数学0点でも東大文系に合格できる!?

もう1つの例を考えてみましょう。東大入試です。

国公立大学を受験する生徒たちが受ける共通テストで、英語は95%・その他の科目は90%取れたとします。そして、二次試験(各大学ごとに出題される試験)で、東京大学の文系を受験するとします。

東大文系の受験生の場合、英語120点、国語120点、数学80点、社会(2科目)120点の点数配分です。

多くの受験生は、50%から55%くらいの得点で争っていますので、国語120点中60点、社会120点中60点と仮定しましょう。そして、苦手な受験生も多い数学では、極端ですが、0点としましょう。

一方、英語(120点満点)は、多くの受験生は60点から70点くらいのレンジでしのぎを削っています。(ちなみに、大学受験時代、英語が苦手だった私は、120点中60点くらいしか取れませんでした。)そんな中、帰国生は120点中100点以上取れることも少なくありません。このシミュレーションでは100点としましょう。

そうすると、二次試験の合計は、英語100+国語60+数学0+社会60=220点。

これに共通テストの点数(二次試験の得点との加算時に110点満点に調整され、100.22点)を加算すると、合計320.22点になります。

合格最低点は、年によって変化しますが、たとえば、2022年度の文科一類(法学部進学コース)の場合、302.6点です。

さきほど計算した、数学0点の帰国生の点数(320.22点)は、この合格最低点を上回っています。つまり、数学で80点中0点であっても東大に合格できるという衝撃の結果になるのです。

このように、子どものうちに海外で数年間英語教育を受けるだけで、英語力が身につき、日本で大学受験をするにしても、大学がワンランクアップするという、非常にハイリターンな結果が得られる可能性があるのです。

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