2015/08/13
イオングループの通販子会社であるイオンダイレクト株式会社は、香港の消費者を対象とした越境ECサイト「新鮮直送(Japan Premium Online Shop)」を2015年8月13日からオープンしました。同サイトでは、果物や米、海産物、高級感物などを国産の果物など農産品を海外の顧客に宅配する仕組みを構築しています。
日本の食料品の海外での販売は、近年急激に伸びていますが、他の輸出商品に比べると販売額がまだまだ小さいと言えます。
いちごを例にとると、2014年の輸出額は、日本から香港への輸出の合計が過去最高の3.8億円、日本からの輸出額の合計は4.4億円でした。「日本のいちご」として見るのでなく、「あまおう」や「とちおとめ」など各ブランドごとに見れば輸出額はさらに小さくなってしまいます。
輸出額が小さくなるほど、広告や類似品対策を含めたブランディングに十分な費用を出すことは難しくなってしまいます。
さて、工業製品(たとえば自動車)の場合、トヨタのプリウスとか日産のマーチというようにブランディングの単位は比較的分かりやすいのですが、農水産品の場合、どの単位でブランディングすべきでしょうか。
フランスワインを例にとれば、「フランスワイン」という国単位でブランディングすべきか、「ボルドーワイン」という地域単位でブランディングすべきか、「シャトー・ラフィット・ロートシルト」という生産者単位でブランディングすべきかと言う問題です。
ブランディングの単位を大きくし「フランスワイン」とすれば、売上額が大きくなりますからブランディングにかけられる費用は大きくなりますが、個々のワインの個性は見えにくくなりますし、利害関係の調整は難しくなりそうです。
他方、個々の生産者でブランディングしようとすれば、個々の商品の個性は見えやすくなりますし、利害調整も容易になりますが、輸出額が小さくなり、ブランディングにかけられる費用も乏しくなります。
日本の農水産品の場合、まだ輸出額が小さいことを考慮すれば、少しでもブランディングの単位を大きくし、商標などの知的財産権保護対策、キャンペーンなどに十分な費用を出せる体制を整えることを考慮すべきではないかと思います。
国単位で農水産品をブランディングした例を挙げないと想像しにくいかも知れません。
日本人がよく知っている例があります。「オージービーフ」です。オーストラリアの牛肉ということでブランディングし、日本での商標登録やテレビCMなどまでなされています。日本の農産品輸出の一つの参考になるかも知れません。