2017/09/28
香港で幼少時から英語教育を受けさせながら子育てすることのメリットは分かるが、日本の充実した幼児教育も捨てがたいという声も聞きます。 でも、香港は香港人・中国人だけでなく欧米人や日本人も多く住む国際的大都市。
英語での幼児教育も日本語での幼児教育も様々あります。 そこで、日本語での幼児教育をしているピグマリオン教育研究所香港本部・香港教室の藤村先生にお話を伺いました。
藤村:人の能力は、認知能力(「脳の機能」に由来する能力)と非認知能力(「心の動き」に由来する能力)に分けられます。このうち、後者のうち多くの能力は、家庭のしつけ教育や幼稚園の情操教育で養われます。一方、前者のうち、暗記、繰り返し、知識、言語という部分は、塾が教育してきました。でも、塾は認知能力のすべてをカバーしている訳ではありません。空間能力、図形能力などのように、能力の有無が見えにくい能力は、塾ではなかなか指導されていません。
OWL:そうすると、ピグマリオン教育は、家庭・幼稚園の教育と塾の教育でカバーしきれない部分をカバーし、両者の橋渡しをしているというイメージでしょうか?
藤村:そうですね。ピグマリオン教育のカバーする部分を図に表してみましたので、こちらをご覧ください。
OWL:空間能力、図形能力などは、具体的にどうやって養うのでしょうか?
藤村:例えば、生徒たちに一番人気の「色板トントン」という教材を使った学習があります。さまざまな形の板を組み合わせながらお手本の図にあわせて形を作ってみる、そして、出来上がったら、釘で下の板に打ち付けます。単に図形を紙の上で学ぶだけでなく、手を動かすことで、五感を使って楽しみながら自然に図形を認識する能力が身につきます。すべての教材が子供が楽しんで出来るように工夫されています。楽しいからやる気もでるし吸収もはやいですね。
OWL:ピグマリオン教育は、どのように生まれたのでしょうか?
藤村:創立者の伊藤先生は、学生時代から高校・大学受験生向けの塾を運営していたのですが、自分の頭で考えられる生徒とそうでない生徒がいる、中学生・高校生から指導をするのでは遅いのではないかと考え、幼児教育に力を入れられてきました。どのような教育をすると、本物の能力がつくだろうかと考えつつ、1980年代にピグマリオン学育研究所が成立しました。
OWL:ピグマリオン教育を受けると、具体的にこういう効果が出るというのは、あるでしょうか?
藤村:受験予備校でしたら、「XX中学校に●人合格」などと言えるでしょう。でも、ピグマリオン教育は、幼児教育(香港校では2歳後半~9歳)ですから合格実績というのは挙げにくいですね。そもそも、ピグマリオン教育は、考えるための基礎的素養を身に付けるための教育ですから、すぐに分かりやすい結果を出すためのものではないです。ただ、数字という親からみて分かり易い分野だけでみると、年長児が3ケタ、4ケタの足し算引き算を暗算でできるようになるようなこともありますので驚かれます。これはピグマリオンのカリキュラムの総合力からできた結果ですが、ここまで能力が育てば図形・空間・数論理能力はかなりのレベルまで育っていると言えますし、知性の土台が出来上がったと考えられるので、今後が楽しみです。
OWL:なるほど。では、ピグマリオン教育を受けた子供たちがその後でどう成長していくのかというモデルがありましたら、お教えくださいますか?
藤村:基本的に目指しているのは社会に出てから大切となる空間能力や、やり遂げる力など生涯必要となる能力作りです。そうはいっても目の前に迫りくる進学との関連については皆様ご興味があることでしょう。香港校は、2016年設立なので、卒業生のモデルを示すことが残念ながらできませんが、30年の歴史がある日本のピグマリオン教育では、既に確立したモデルがあります。日本屈指の進学校である灘中学校への合格実績No.1で有名な中学受験塾の浜学園がありますが、浜学園の幼児教育コース(はまキッズオルパスクラブ)は、ピグマリオン教育のシステムが採用されています。これはピグマリオン教育で得られる能力を幼少時に育てることが、中学受験・大学受験でも生きてくると言えると理解していいと思います。
OWL:ピグマリオン香港校は2016年1月に開校されたとのことですか、どういった経緯だったのですか?
藤村:もともと私は企業の管理職の立場におりました。仕事していると日々これまでになかった問題に直面し、解決するということが常にあります。そういう状況で真摯に立ち向かえる人とそうでない人の違いはどこから来るのかと考えたときに、幼少期からの育ち方や能力の持ち方で違いがでていると気が付きました。また、私には小学生の子供がいるのですが、5歳くらいまで言葉が遅れていました。その中で香港ローカルの小学校受験なども経験しながら幼児教育について色々考えさせられるところがありました。言葉が遅れても他に伸ばしてあげるべき能力は何かと考えていました。様々な幼児教育を研究するようになり、その中で、ピグマリオン教育に出会い、これを機にピグマリオン香港校を開校しました。
OWL:生徒さん達は、日本語の幼稚園・日本人学校に通っている生徒、インターナショナルスクールに通っている生徒、どちらが多いですか?
藤村:割合でいうとインター生、約70%、ローカル校生、約20%、日系が約10%ですね。
OWL:それは意外でした。日本語での幼児教育ですし、日本語の幼稚園・日本人学校に通う子の方が多いと思っていました。
藤村:子供に英語を身に付けさせたいという思いと高い能力を身に付けさせたいという考えに共通点があるのかもしれませんね。ピグマリオンは高い能力を育てるのが目標ですので、日系の学校に通う生徒さんにもどんどん来てほしいですね。
OWL:ピグマリオン香港校に通う生徒は、父母とも日本人の子が多いでしょうか?
藤村:父母とも日本人の子どもは約半分くらいです。そのほかは欧米系やローカル系のハーフの子です。
OWL:将来的には、英語での授業も行われますか?
藤村:そうですね。2017年9月から英語のレッスンも始めています。また、日本語を伸ばしたいという声に答え2017年からはバイリンガルキッズ向けにテーブルを囲んで発言やアウトプットを最大化する全員参加型のハークネス式日本語クラスも開設し生徒募集しているところです。
OWL:楽しみです。今日は、有難うございました。
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