2016/08/23
日本から最も近い低税率の国・地域で、投資商品の種類も豊富な香港。この香港の良さを活用するためには、香港の居住権を得ることが最も近道です。
香港に居住権を得ようとする場合、2015年1月までは資本投資移民ビザ(CIES)という選択肢がありました。資本投資移民ビザ(CIES)は、1000万香港ドル(現在のレートで約1億3000万円)以上の投資を香港で行えば、居住権を取得できるものでした。そのため、香港の居住権を取得したい富裕層(特に中国大陸の富裕層)に人気がありましたが、2015年1月に資本投資移民ビザ(CIES)の受付が中止されてしまいました。
現在では、香港で居住権を得るには、就労ビザと投資ビザが現実的な選択肢となります。
就労ビザは、従業員として香港で働くため必要なビザです。ビザが承認されるか否かの判断にあたっては、香港経済の発展に有益な知識、技術等を有しているか等が問われます。
一方の投資ビザは、香港法人の株主が、香港に滞在して事業を行うためのビザです。ビザが承認されるか否かの判断にあたっては、申請者の知識・技術や関連する分野での経験、この香港法人による事業が香港経済の発展に貢献するか等が問われます。
したがって、就労ビザ・投資ビザは、申請者の経歴が重要視されるため、全ての人が簡単にビザを取得できるという訳にはいきません。(もちろん、OWL Investmentsでは、申請者の経歴を伺ったうえで、認められやすいビザの種類や申請書類について全力でアドバイスしています。)
さて、2015年1月まで香港にあった資本投資移民ビザ(CIES)のように、資産だけが要件になっているビザが認められている国はあるでしょうか?
日本から近いアジア諸国にも、リタイアメントビザとして、財産だけが要件になっているビザが認められている国があります。(なお、退職者向けビザという性質上、原則として、就業は認められていません。)
マレーシアには、マレーシア・マイ・セカンドホーム・プログラム(MM2H)というシステムがあります。MM2Hでは、一定額以上の財産・収入を条件にビザが認められ、ビザ取得により10年間の居住権が認められその後の更新も可能です。
退職者向けのビザとは言うものの年齢制限はありません(若い人でも取得可能です)し、要求される資産の額も比較的低く設定されていることから、取得しやすいビザと言えます。
具体的には、以下の要件を満たす必要があります。
■年齢:制限なし。
■50歳以上の方:最低35万リンギット(約875万円)以上の財産証明と月額1万リンギット(約25万円)以上の収入証明又は年金証明が必要です。
■50歳未満の方:最低50万リンギット(約1,250万円)以上の財産証明と月額1万リンギット(約25 万円)以上の収入証明が必要です。
タイにもリタイアメントビザがあります。一定額以上の財産・収入を条件にビザが認められ、シングルビザは3か月・マルチプルビザは1年の居住権が認められその後の更新も可能です。
具体的には、以下の要件を満たす必要があります。
■年齢:50歳以上であること。
■資産・収入:以下のいずれかを満たすこと。
①80万バーツ(約240万円)以上をタイ国内の銀行に預金していること。
②月々の収入が 6万5千バーツ(約19万5000円)以上あること。
③預金と収入の合計が 80万バーツ(約240万円)以上あること。
フィリピンには特別居住退職者ビザ(SRRV)があります(英語サイト、日本語サイト)。35歳以上であれば、一定額以上の財産・収入を条件に永住権が認められます。
具体的には、以下の要件を満たす必要があります。
■年齢:35歳以上であること。
■資産・収入:以下のいずれかを満たすこと。
①50歳以上で年金のある場合:10,000米ドル以上の預金があり、1か月あたりの年金が800米ドル(独身のとき)または1,000米ドル(夫婦で申請するとき)であること。
②50歳以上で年金のない場合:20,000米ドル以上の預金があること。
③35歳以上50歳未満の場合:50,000米ドル以上の預金があること。
マレーシア、タイ、フィリピンの3か国を比較した場合、年齢制限が無い(緩い)という点では、マレーシアとフィリピンが勝り、資産・収入制限では、タイとフィリピンが勝ると言えます。
でも、実際にこの居住権を使う可能性があるとするならば、ビザ承認の制限が厳しいか否か以上に、実際にその国で自分が楽しんで生活できるのかを重視した方が良いと思います。
さらに、 OWL Investments的視点からは、日本に財産・ビジネスをお持ちの方、香港で会社を持っている方、香港やその他のアジア諸国で投資をされている方が、どのような会社ストラクチャーにしていったら税金面で有利であるかについても、一緒に検討していきます。
OWL Investmentsは、香港で既に会社設立をした方が、2018年の自動的情報交換に向けてどう対策をすべきかを一緒に考えていきます。
問い合わせ用メールアドレス:info@owl-investments.com
香港法人名義の口座に保有させていた財産、今後は日本の税務当局に開示される!?